記憶の中の原子力問題 |
「地球少女アルジュナ」だった。
当時VHSビデオを借りようとしたのだがレンタルビデオ屋さんを3件廻っても見つからず、しょうがないのでヤフオクで中古全巻セットを手に入れた。
TV放送は今から10年前の2001年に行われていたようだ。
当時はエネルギー不足を解消する為に登場した原子力発電は次世代をになうクリーンでエコロジーなエネルギーだと思っていた。
しかしこの物語で原子力発電にはとても多くのリスクがある事、そのリスクは人々の生活を破壊する威力があることを知った。
物語の中ではラージャというモンスターに原子力発電所が襲われて破壊され、原子炉が暴走を始めたシチュエーションの中、関係者や周辺住民に避難指示を出した後に単身で復旧を試みる施設の所長と救助隊員の会話を通して原子炉のトータルコストや廃棄物の処理の問題、発電所が必要な理由が取り上げられている。
救助隊員:「・・・でも、原子炉はリスクが大きすぎるわ、建設コストや核廃棄物の保管を含めればほとんど採算がとれない。現に欧米では原子炉の建設を規制したり廃止したりする国々が・・・」
所長:「君に言われなくても分かっている!!」
所長:「15年・・たった15年前のバブルがはじける前のこの国の一番豊かといわれたころの電力消費量に戻すだけで原発を一つ残らず無くせる。」
救助隊員:「それとも、真夏の2週間冷房を我慢するか・・・でも、たったそれだけのことが私たちにはできない・・。」
所長:「だから俺たちが、せめて安全だけでも守らなければ。」
そのほかにも登場するキャラクターの台詞の中で原子炉のリスクを聞いた。
「ったく何てザマだ!安全装置が聞いてあきれる・・」
「もしもの時は一千年の都も人の住めぬ死の都となるな。」
まさか数年後に福島原発事故で自分が巻き込まれるとは思いもよらなかった。さらに今回はラージャよりも恐ろしい所を持っている「人間」が深く関わっている。
なぜならラージャ同士は共食いはしないが、人間は同じ人間を消費してまで生きていこうとしているから。
この物語は他にも多くの環境問題や取り組むべき課題が社会にあることを教えてくれた。
・農薬、遺伝子組み換え作物、酸性雨
・抗生物質配合飼料、薬剤耐性菌
・異常気象
・土壌汚染、海洋投棄
・教育問題
・離婚、母子家庭問題
・薬害問題etc・・・・。
なかでも家畜に使われる成長促進剤の影響を知ってからはしばらくの間ハンバーガーを見ても食欲がいまいち沸かなくなてしまった記憶がある。
数多く語られ、見せつけられる暗い話題。しかしそれと同じぐらい強烈だったのは物語の中で表現されている生命の営みの美しさだった。
小さな細菌から地球全体までが繋がり生きている事、そして調和の上で人間を含め数多くの植物や動物が暮らしていることを当時の最新CG技術を惜しみなく使った画像で見せてくれた。
内容は子供向きではなくある程度経験を積んだ大人が見てこそ理解できると思う。身の回りにある見えずらい話題に気が付くきっかけになるかもしれない。
福島原発事故でこの物語の事を思い出したのでDVDを借りにレンタルショップに行ったのだがなぜだか置いていなかった。借りる人があまりに少ないのだろうか?残念。
ちなみに前回のブログhttp://gaibukioku.exblog.jp/14415336/の内に出てきた言葉
「一つ、身体は力みなく伸びやかに天地を貫き~」は主人公が魔として存在しているラージャを清める為の弓「ガンディーバ」を構える時に口にする言葉。
物語のラストではこれまで人間を苦しめてきたラージャの驚愕の正体が明らかにされる。
実はラージャは・・・・・残りはご自分で確かめてくださいませ。